カズオ・イシグロ氏の原作「私を離さないで」。映画版を観ました。
1967年の架空の世界設定の解説から始まるこの物語、たんたんとすすむ話の中で、やりきれない思いが心の中に広がりました。
隔たりがあるけれど、変わらない日常、ところどころ違和感があり、だんだんその違和感の意味が理解されていきます。
観終わって感じたことは、人が人を分けるときは、その人自身がどんな人かは関係ない時があるんだな、というやり切れなさです。
その架空の世界では、彼らは管理されていて、その中で生きることしかできないようになっているのでしょう。何も変わりがないいのちの営みが生活の中で感じられるのに、彼らの元には確実に「知らせ」が届くのです。
彼らは彼らでしかなく、その仕組みを考えた人たちの元、一方の側に立ち続けなければならない、そのことを忘れてしまうほどに、互いにいのちであり、いきている毎日がある、それがとても愛おしく、悲しい映画でした。
自分の幸せは、人の犠牲のもとでは成り立たない
最近感じたこの言葉が繰り返し聞こえてくるようでした。
ドラマは見ないでおこうと思っていますが、本は読んでみようと思います。