板橋区に越して3年半。もう少し人間関係を広げたいと思うようになりました。
タイミングよく受講できたのが2つのボランティア講座です。
ひとつは区の保健所主催の「心の健康サポーター養成講座」。
係わるボランティアのこころの健康も考えながら、心のケアに関する活動についての講義・体験を提供する講座でした。
もうひとつは、ボランティアセンター主催の、「傾聴ボランティア養成講座」。
この講座は、特養や高齢者のグループホーム等で活動する「傾聴ボランティア」を養成する講座です。
どちらの講座も施設での体験が含まれているので、座学で終わらず実践的な講座でした。
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「心の健康ボランティア養成講座」で印象に残ったのは、区内で活動している施設ユーザーの皆さんの体験談を伺った日でした。
障害がある私は、よく自分の生い立ちを語る機会をいただいたりしていました。私も自分を語る側にいることが多かったのです。
今回初めて、ボランティアをする側に立って話を聞きました。
今まで感じていた自分の視点と、異なった見方をしている自分がいました。
自分も必要だと思ってやってきたこと、話してきたことは、私にとっては当然やるべきことだったわけだけれども、聴いている側にとっては、信頼できる人以外に話すことではないという感覚のようなものかもしれないと思ったのです。
そう思うほど人の語る人生は実感がこもる体験談なので、身も知らない私がここで聞いてしまっていいのだろうかという思いにかられました。
体験談というものは、重いものなのだと感じたのです。
ボランティアとして体験させていただくことも、私にはとても貴重な経験になりました。ボランティアは自主的なもの。今回は講座中なので保健所が調整してくださいましたが、日程確認の電話は自分で行いました。
こんなにドキドキするのだと実感しました。
私の家は、たくさんの方が介助というお仕事で来てくださいますが、こんな風にドキドキしながら、でも、自分の不安な気持ちよりも、訪問先で何ができるのかを考えながら来てくださるんだなあと思いました。
その気持ちには謙虚さがあるように感じました。
人を支援するという気持ちの中には、そのようなものがあるように思ったのです。
私は実際に体が動かないので、その日の介助の方に私のやるべき作業を頼んで、何もできないまま体験の時間を過ごすことになりました。でもその雰囲気を感じることができて、とてもいい経験になりました。
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「傾聴ボランティア」の講座は、ピアカウンセラーとしての体験が少し活かせるかと思っていたのですが、甘い考えでした。
積極的に話を聞くためには、話のきっかけからすそ野を広げていかなければならず、それ自体が私には難しいことだったのです。
傾聴に必要な「受容、関心、共感」は、ずっと学んできたことのように思います。なのに、実感が持てたのは、カウンセラー役をしていたロールプレイ時にタイミングよく、講師の方にアドバイスを受けた瞬間でした。
「村山さん、ここで話を拾って質問するのよ」
はっとしました。話を拾うとはこういうことなのかと腑に落ちた時でした。
特養での体験も貴重な初体験でした。この話題はもう少し言葉がまとまったら記そうと思います。
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体験というのは本当に貴重なのだと、今回2つの講座体験で思いました。
ボランティアをする側として講座を受けること自体も、私にとっては初めてだったと思います。
私はいつも支援を受ける側だったからです。
講座が終わってこれからどんな体験ができるのか、ドキドキしながら活動を始めます。
私の中で驕った気持ちを排除できるような、気付いていけるような活動をしたいなと、思っています。