ネタバレになってしまうので、観ていない方は申し訳ありません。
最初すこしとっつきにくい感じがしたけれど、見終わると気持ちよさが残る映画でした。
交通事故で生徒を失い、自分も火傷を負い、その上あらぬ罪に問われてその罪をつぐわなければならなかった元教師。ある少年との出会いでまた新しい展開があるのだけれども。
教師というのは、というよりも、自分の仕事を全うする喜びというのは、苦しい思いをしてもやり通すことで得られるものなのかと、感じました。
彼は教師という職業で得られるものを「至極の幸福」と表現しました。
それは、彼を慕って通ってくるようになった孤独を抱える少年が、変わっていく姿をまじかで感じてのことだと思うのですが、
周囲の人たちはそうは取らず、自分の世界観の中でしか人を観ていないということを見せてくれる映画でした。
価値観の違いというのこのような平行線を辿るものなのだと、そして一度植えつけられた偏見や先入観は、とても手強く、その目を向けられた側の苦しみは計り知れないと感じました。
彼の過去の出来事を確かめようとする少年に、
「君は僕を黒と判断している。君は先入観でしか僕を見ていない。僕は君に何かしたか? 僕が過去に何かしたと思うか?」
と言います。
確かめるな、自分で考えてみろ、ものごとは人に確かめてわかるものではない、と言われているように思いました。
考えるというのは、相手との関係の中で感じていくことから、受け取ったものから、自分の中でたどり着くものなのだと感じました。
少年に伝えられる教師の言葉は、とても心に残りました。
何かがあったときに、それを確かめることで確かに安心したりするけれども、それは安心できる言葉が欲しいだけで、本当は相手を理解しようと思って行動しているわけではないんだなと、日頃の自分の心持ちと合わせるように返りみました。
考える心を自分で育てることの難しさを思いました。
同時に、ものごとが深く理解できるということは、苦しみが伴うのかもしれないとも思いました。わかってもらえない苦しみというよりも、真実を表そうとする苦しみというか、私は経験がないことだから上手く言えないけれども。
私はようやく「書き現わす」大切さに気がついたばかり。深みに行くには当分時間を費やしそうです。
私はようやく「書き現わす」大切さに気がついたばかり。深みに行くには当分時間を費やしそうです。